『
最後の惑星船の謎』、『
地球発狂計画』、『
終末期の赤い地球』に引き続き、死蔵していた久保書店Q-TブックスSFの最後の一冊を読んでみた。おそらく数年前(いや十数年前? ひょっとすると二十数年前?)にワゴンセールか何かで購入したもの。
プロット紹介:人類が月などに進出している未来。政府のエージェントの主人公がたまたま「『人間』売ります」という不審な広告を出している店に探りを入れたことから、影の組織同士の暗闘に巻き込まれる。うち1つは人類を「次のステップ」に進めようとしている超能力者の集団で、主人公も(元から未開発ながら潜在的に持っていた)超能力に目覚めていく…
率直に言うとつまらなかった。プロットは正統派と言えなくもない(ちょっとハインラインの『深淵』を思わせる感じだ)が、その実装はお粗末の極みで読むに堪えない。悪い意味でのB級、いやC級作品としか言いようがない。
久保書店のQ-TブックスSF及びSFノベルズの収録作品の過半数にも言えることだが、どうやってこれほどしょうもない作品を探し出してきたのか、どうしてそれをわざわざ翻訳刊行したのか不思議に思う。
以前『
時間と空間の冒険 No.2』感想にも書いたとおりロバート・ムーア・ウィリアムズは探せば良い作品はあると思うのだが、邦訳されている長編2つのうち1つがこれなのは遺憾である。そういえば先日の『
ゴルの無法者』の巻末解説(鏡明)に、オーストラリアの奥地(?)を舞台にしたバローズ・タイプ小説「ジョンガー」シリーズという作品が紹介されていた。これには興味を惹かれる。誰か翻訳してください。